亜 真里男(Mario A)作品集『The situation is under control』
現代のジャポニスム作家「亜 真里男」は、
「3・11」以降の日本に、何を見て、何を描くのか!?
スイスに生まれ、ドイツに育ったアーティスト亜 真里男(あ・まりお/Mario A)は、1982年に来日して以来、約30年間、日本をベースにアーティスト活動を行っています。
日本人よりも日本を愛してやまないその制作活動は、「日本趣味」=「ジャポニスム」の系統に属するものでしょう。
美術史でジャポニスムの代表作といえば、ゴッホの《花魁》やモネの《ラ・ジャポネーズ》等が挙げられますが、日本の美意識や独特な空間構成が、印象派をはじめ、西洋美術に強い影響を与えたことをそれらの作品から知ることができます。
本書タイトルの「The situation is under control」とは、「2020年東京オリンピック」の招致にあたり、国際オリンピック委員会総会で安倍晋三内閣総理大臣が行った演説の一節です。つまり、事故を起こした福島の原子力発電所がコントロール下にあるという内容でしたが、日々流れてくるニュースからは誰の目にも「NOT under control」であることが明らかです。
かつてのジャポニスムは主に美意識や形式を模倣しましたが、現代のジャポニスムは、美しく平和な日本を守るために、原発問題や平和憲法などに対する積極的な社会的言説を含んだアートとして、日本人に語りかけるべきだと作家は考えています。
本書には、2011年から2016年にかけて描かれた「3・11」以降の絵画シリーズ全35点と、幾重に重ねられた作品コンセプトを解読するためのステートメントを収録し、亜 真里男による新しきジャポニスムのかたちに迫ります。
¥ 2,970