小林正人『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』

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小林正人『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』
小林正人『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』

画家・小林正人による初の自伝小説。3部作の記念すべき1作目!

ひとりの青年が、画と出会い、画家として成長していく姿を、自伝小説の形式で語るビルドゥングスロマン3部作の第1作。
時代を正直に生き、つかみとった〝真実〟だけが言葉となる。
伝説のキュレーター、ヤン・フートに才能を認められ、国際デビューをはたす直前までの「国立時代」を著した〝青春編〟

 

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「これが小林くんの最初の画ね」。
何も描かれていない真っ白なキャンバスを目の前に、「せんせい」は小林青年にこう言った。
恋心をよせていた音楽のせんせい。
そのヌードを描く絶好の機会を得た小林青年であったが、初めて手にした油絵の具では、目の前に横たわる輝くばかりの裸体をキャンバスに写し取ることができなかった……。1980〜90年代にかけて、国立のアトリエで描かれた宝石のような初期作品群。
《天使=絵画》《絵画=空》《天窓》《絵画の子》……、といった傑作の数々はいかにして生まれたのか。小林正人にとって、「画を描くとは?」「絵画とは?」「愛とは?」……。

ひとりの青年が、画と出会い、画家として成長していく姿を、自伝小説の形式で語るビルドゥングスロマン3部作の第1作。時代を正直に生き、つかみとった〝真実〟だけが言葉となる。

伝説のキュレーター、ヤン・フートに才能を認められ、国際デビューをはたす直前までの「国立時代」を著した〝青春編〟。

 

 

 

感想まとめ(SNS)|小林正人『この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で』

書名:「この星の絵の具[上]一橋大学の木の下で」
著者:小林正人
ページ:160ページ(作品図版等カラー16ページ、モノクロ144ページ)
製本:ソフトカバー
サイズ:文庫判
デザイン:木村稔将
ISBN:978-4-908122-10-1
2018年12月刊行

[目 次]

一 絵画=空 1985-1986

そこに描くんじゃ、遅すぎる!(美しい四角)
周吾

二 太陽に描いてもらう/拾ったパネル

クリスマス ホワイト 1989-1990

三 空戦 1990-1991

キャンバスを張りながら手で描く!
空戰をする〝或る場所〟
オープニング (四月十七日)
春の嵐〜作品=音楽
五月三日の朝だった

四 昔々あるところに……

「小林くん、画、描いてみない?」
新品の絵の具セット
初めての画
先に寝たやつ相手を起こす(眠りと死)

五 絵画の子 1992-1996

新しい光
国分寺の画材屋
明るさについて
ライトくん
約四角、約平面のオイル・ウィズ・キャンバス!
トワイライト――マジックアワー
一橋大学の木の下で
存在することで失墜していないもの
この星の絵の具――たくさんの明るさ

図版

著者プロフィール
1957年東京生まれ。東京芸術大学美術学部油画専攻卒業。1996年サンパウロビエンナーレ日本代表。1997年キュレーター ヤン・フート氏に招かれ渡欧。以降ベルギー、ゲント市を拠点に各地で現地制作を行い2006年に帰国。主な個展:「小林正人展」宮城県美術館(2000)、「A Son of Painting」S.M.A.K(ゲント、2001)、「STARRY PAINT」テンスタコンストハーレ(スウェーデン、2004)、「この星の絵の具」(高梁市成羽美術館、2009)「ART TODAY 2012 弁明の絵画と小林正人」セゾン現代美術館(2012)、「Thrice Upon A Time」 シュウゴアーツ(2016)。

  1. 絵描き人

    読み始めたらとまらない。

    文章に疾走感があり、読んでいて心地よい。
    画家の文章だけに、視覚的な美しさもある。
    さりげない描写にきらきらと色が見える。

    ふだんは入れないアーティストのアトリエに画家と一緒にいるような、
    いや、画家になって絵を描いているような、
    そんな体験ができる素晴らしい本です。

    洞窟時代から、人は絵を描いてきた。
    いつの時代も、なぜ絵を描くのかは問われてきたが、
    その一つの答えをこの本に見るような気がする。

    そして物語の豊かさ。
    著者や周囲の人の人間模様、やさしさ、愛情などなど。
    遠くの星が線でつながれて、星座になるような、
    細部が次々とつながる物語展開に感動。

    ロマンティックな要素もあるが、
    情緒に流されず、見事に描き切った快著。

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